字を乱雑に書く

 小学生で漢字の個別トレーニングを主に受講している子が何人かいます。彼らは漢字を覚えることに主眼を置いて勉強しています。しかし、せっかく覚えた漢字を乱雑に速く書くことによって間違ったりすることがあります。「線がついているところはくっつけて」私が一番よく言うことです。字配りが少々よくなくても必要なパーツがちゃんと配置され、線がくっついているところがくっついる、跳ねは跳ねていれば正解とします。したがって上手に書く必要なく、最低限正確に書くことが必要なのです。しかし、乱雑に書くときは概して必ず急いで書いて正確性がなくなっています。実はこの急いで書いている癖の方が問題なのではないかと思います。習字は大好きで一所懸命ゆっくり書くのに、その他の教科では字を乱雑に書いている子をずーと昔に見たことがあります。たぶん習字以外の教科が好きではなく「面倒くさい、早く終わらせたい。」の気持ちが字に現れているのかもしれません。勉強に臨む気持ちより他のことが心の片隅にある場合(たとえば友達と遊ぶ時間が迫っている、塾の後のテレビ番組が気になる等)急いで乱雑に書くことになると想像できます。いったん「憂いのない状態」までにしてから勉強を開始しないとこの「急いで乱雑」は終わらないかもしれません。

 よく、「宿題終わってから遊びに行きなさい」という躾の基本のような言葉が、「急いで乱雑」な習慣を作っているかもしれないという話を本で読んだことがあります。子供によっては、遊びに行きたいのを我慢しノルマとしてしか感じない宿題をやること=勉強となり、それが繰り返されれば、結局先入観として勉強=「厄介で面倒」の悪印象が醸成され、行動では勉強となると「急いで乱雑」が繰り返され習慣化してしまうようです。この習慣化に抗するためには、なるべく「憂いのない状態」の中で勉強をしていこことが重要だと思いますが、その状態はどのように作ればよいのでしょうか。

 テキパキ仕事をしていくとき、脳内ではノルアドレナリンを分泌されます。一方ノルアドレナリンは怒ったときや逃げ出すときにも分泌します。ノルアドレナリンが分泌しすぎると怒りや逃げ出したくなる気分になるようです。その分泌を抑える調節をするのがセロトニンで、行き過ぎを防ぎ「テキパキ仕事を」する状態=「勉強継続」が維持できます。前回の話題「脳内物質セロトニン不足」の内容に即して言えば、いかにセロトニン不足を克服するかがカギになるようです。また、快楽神経伝達物質ドーパミンの分泌もセロトニンは調節しますので、いわゆる「依存症」対策としてもセロトニン不足解消は「精神の安定」として重要だと思います。