脳内物質セロトニン不足

ここ数回「勉強の耐久力」や「泣く子・怒る子」について述べてきましたが、双方とも「別の機会に述べていきたい・・・」という終わり方をしてきました。今回はその「別の機会」です。

 ここ約20年間、脳科学の発展は目を見張るものがありました。特に脳内の活動状況を外から測定することができたり、脳内物質の分泌程度の測定が容易になったりしたおかげです。教室の中で起きていた塾生たちの行動や様子を、心理学や精神分析だけでなく脳科学の言葉で表現ができるようになったということです。

  ここで登場する脳内物質はモノアミン神経伝達物質の3種です。快楽を増幅するドーパミン、意欲と生き残るために必須のノルアドレナリン、他の2種の神経伝達物質を制御し落ち着きと安定感をもたらすセロトニンです。これらの神経伝達物質についての詳細説明は多くの本やインターネットの中でなされていますのでそちらをご参照ください。

ドーパミンやノルアドレナリンが不足するとそれぞれ関心が薄らぎ精神機能が低下したり、無気力・意欲の低下が起こります。しかしこれらを総合的に調節しているセロトニンが不足するとうつ状態・パニック発作・摂食障害を起こし、起床後の覚醒状態を作れず、その後も調子がでません。また感情制御が効かなくなり攻撃的にもなります。セロトニンは夜になるとメラトニンという睡眠に関わる重要な脳内物質に変わります。セロトニンが不足することはメラトニンの不足=良質な睡眠の欠如というおまけまでついてきます。

「勉強の耐久力」が不足している子や「泣く子・怒る子」などの感情制御が効きにくくなっている子の原因は「セロトニンの不足」であると近年言われています。この辺の説明はセロトニン研究の第一人者、有田秀穂東邦大学教授の著書などをご参照ください。

有田教授の著書にはセロトニンの増やし方もちゃんと載っています。どれもこれも日常生活で実施可能なものばかりです。

・朝日を直接浴びる。
・リズミックな運動を一定時間行う。
・禅・ヨガ・各種武道などで使う丹田呼吸法 などです。

 これらの具体的方法(特に小中学生を対象とした)は別の機会にまた述べていきたいと思います。