「爪・鉛筆を噛む」再考

 ステップアカデミー第二教室ではそういう光景は見たことはないのですが、世の中には爪を噛んだり鉛筆を噛んだりする子供たちがいます。筆箱の中の鉛筆の先端が全てぼろぼろということもあるようです。通常の躾でしたらこれらの行為は避けるべき行為として指導すべきことですが、今回はそれらを少し別の角度から考えていこうと思います。

 子供たち、または大人でも緊張をしたりすると爪等を噛んだりする人々がいます。なぜ、彼らは爪等をを噛んだりするのでしょう。一番考えられる理由は緊張を解す為に行うということですが、それが咀嚼の類似代替行為で、それにより脳内にセロトニンが分泌され精神的安定が獲得されるならば、緊張状態で様々なものを噛むのも道理があるということになります。

  話が少々変わりますが、乳幼児突然死症候群という病気があります。幼児が就寝中に原因不明でなくなるという病気です。現在分かっていることは、亡くなった乳児たちの脳内は通常よりもセロトニンの分泌が少なかったということのようです。この予防のためにアメリカ小児学会は対策として、「母親の同床/添い寝の中止」「おしゃぶりの使用」を提言しています。前者は圧死を含む不慮の事故を防ぐためですが、「おしゃぶり使用」はセロトニンに関係しているようです。おしゃぶりを連続的にまたは断続的にしゃぶることによって「リズミカルな運動」→「咀嚼と同系」→セロトニン分泌が促され突然死防止が見込めるという道筋のようです。

乳幼児突然死症候群では「おしゃぶり」の使用は文字通り生命維持のためですが、爪を噛んだり鉛筆を噛んだりが「精神的安定」のための防護行動と考えると、勉強促進の為に積極的にこの「防護行動」を活用することも考えられます。具体的には大リーガーが試合中にガムを噛んでいるのと同じに、勉強中に「ガムを噛む」ことです。場合によっては道徳的に検証されなければならないかもしれませんし、また塾の中で認めるかどうかは別の話にしても、各家庭でご理解いただけるのなら行う価値はあるように思います。昨今、食生活で軟らかい食物が多くなり、よく噛んで食事を取る、硬いものよく噛む機会が子供たちの生活の中で減少しています。噛む・咀嚼することを見直すという理由にこのセロトニンの分泌→精神的安定を付け加えることもできると思います。