やる気の正体

人の行動には無意識に行えることが多く在ります。物を食べる時、物の位置を確認し、口の大きさをそれに合わせて開ける設定をいちいちしながら行うことはありません。一連の行動として行っています。この場合、人は一連の行動を司る脳(線条体)が受け持ちます。自転車が乗れないうちは、いわゆる前頭葉を駆使して練習しますが、乗れるようになるとこの線条体が受け持ち、言語で表現することは必要としない行動として長く記憶されます。そして自転車に乗る時、気分が爽快だったりします。これはこの行動に対してドーパミンが分泌され「気持ちいい・いい感じ」の行動として記憶に蓄積されていきます。なにかを再挑戦をする場合、この「いい感じ」を追って行動を再現しているようです。諏訪東京理科大篠原菊紀教授よると、この動作と手順と「いい感じ」(快)の結びつきこそ「やる気」の正体ということだそうです。そしてその「やる気」を育てる基本は「強烈に誉めて待つ」ということです。

しかし一方で一旦は「やる気」を持ったとしてもそれが持続しないということが起こります。これに対して東京大学森俊夫助教は「人が行動を変えるのは、具体的で実行可能な行動の形で未来が見えたとき」と言うます。そして「具体的で実行可能な行動の形でゴールを描けると人は勝手に変わる」と続けています。この「勝手に変わる」ところに真実をとても感じます。そして塾の使命はこのゴールを描き塾生に提示し続けることと肝に銘じる必要があります。また目標は「評価可能な(できれば数字の入った)行動の形」になっているものです。目標ができたかできないか評価しやすいことは必須のようです。「やる気」は自然に湧いてくるものではなく、作るものであるということを改めて考えさせられた内容でした。