節電反動冷え そして 脳の体積が増える

 暑い夏にも関わらず、世相としては「節電」が徹底されていました。そんな中、「節電反
動冷え」という症状が世の中に蔓延しているようです。「節電反動冷え」とは節電の中、
直接冷たいものをたくさん飲んで体を冷やし、その為体調が悪くなることのようです。昔
から子供が冷たいものを食べすぎたり飲みすぎたりしてお腹を壊すのは定番でしたが、
大人も同じような理由で体調が悪くなってしまったようです。塾生の中にもそのような様
子を見ることができます。まず、冷水器の水がよく売れました。暑い中通塾してくるので
致し方ないかと思いますが、一方でお腹の調子を壊し授業中でも「トイレ休憩」となってし
まう塾生もいました。体調管理は大切です。暑さに負けず元気に秋を迎えてほしいと思
います。

 さて、前回は「鬼トレ」について述べました。今回はその効能のひとつについて述べ
ます。

 「鬼トレ」を行うと前頭前野の血流量が増えるともに脳の体積も増えるようです。もとも
とは2000年頃の雑誌「サイエンス」に「ジャグリングの訓練を行った後に、ものの動きを
感じる頭頂葉や側頭葉の体積が増えた」という論文が発表され、それから「脳トレ」や運
動等の様々な訓練で脳の血流量の増大だけでなく脳そのものの体積が増えるという
「結果」の把握もされるようになりました。ちょうどそのころでしょうか。子供を扱った月刊
誌に「脳をMRIで画像化し判定し、能力等不足していると思しきところを訓練により強
化し、後に再度MRIで確認する」という話が載っていました。当時脳の血流量が増える
脳トレ全盛期でしたが「血流量が増える=脳が活性化する=知能が上がる」という解釈
が普通に行われていました。それに対し、「脳そのもの自体の変化が確認できなければ
確証は持てない」という意見もありました。脳の変化をMRI画像で確認するこの方法は
私には理に適っているように見えました。子供の場合、「MRI画像診断の後不足部分を
補うためのトレーニングが課せられ、家で訓練し、数か月後に再度MRI画像診断で脳
の変化を確認する」を繰り返すようです。(実は大人でもこの内容は変わらないようで
すが)

 ただこの方法の難点は費用が掛かりすぎることです。(例えば1回10万円で最低2回
は必要となる)この点を除いて考えれば通常の健康診断のようにも考えることができ
ます。診断結果に対し経過観察・訓練対応をする訳です。たとえば「子供が我儘で・・。」
という場合、MRI画像診断を行って専門医が改善点を見つけ、それに対応したトレーニ
ングを課す。一定期間後再度MRI画像診断を行う。すべての子供が健康診断を受ける
ように実施することも将来可能かもしれません。しかし脳に関するこの画像診断は学校
の健康診断のように強制的に受けさせることは少々乱暴かもしれません。一方で、MRI
画像診断を基本的には無料で学校で健康診断のように受診することができ、プライバ
シーは保護されるという条件になると、多くの保護者に受け入れられるかもしれませ
ん。後は「処方されたトレーニング」をちゃんと家庭で実践できるかという「学校の宿題を
ちゃんとやる」というようなことと同じ俄然卑近な課題となってきそうです。いずれにしろ、
脳を鍛えるのに王道はないということのようです。地道な訓練という話に戻ってきます。
やらねばならぬのなら「さっさと終わらす」志向性がやはり鍵のようです。