息抜き そして 鬼トレ

  第二教室の入り口ドアが鉄扉からアルミ網入りガラス扉に替わって2週間ほどが経ち
ました。これによる影響と思しき塾生たちの行動の変化がありました。 多くの塾生は休
み時間に入り口横にある給水器で水を飲みます。そしてそのとき給水器横にある「塾ナ
ビポイント交換商品一覧表」を眺める塾生が多くいました。今回、そのような塾生の中か
ら入口下足箱簀子まで足を延ばし、網入りガラス越しに外を眺める塾生が出てきまし
た。そこからは隣の家の屋根やビルとともに光が丘公園の木々も見ることができます。
視線を遠くまでやり、一息いれるのはまた格別なのかもしれません。よい息抜きができ
ればと思います。

 さて、次は前回から続きの話です。

 この間記憶について述べてきました。そんな折、任天堂から東北加齢医学研究所川
島隆太教授監修の「ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング」というソフトが販売さ
れています。テレビCMなども行われているので知っている方も多いと思います。このソ
フトはワーキングメモリー・短期記憶を鍛えるものです。従来からある「脳トレ」ソフトとど
こが違うのでしょうか。今回はその辺の話からはじめていきます。

 今までの「脳トレ」は、100ます計算に代表されるように計算を早く行い結果的に脳の
前頭前野が活性化され訓練されていくという道筋でした。多くのトレーニングは「何秒で
できたか」を記録していき、成長を確認していきました。もともとは高齢者の痴呆傾向に
歯止めをかけるためのトレーニングとして開発されました。しかし、痴呆の歯止めがか
かる→知能が上がるとされ、初等教育にも適用できるのではないかと文科省をはじめと
する小学校関係者が採用していった経過があります。しかし脳の前頭前野の血流量が
上がり、脳が活性化される→知能が上がるということなので、頭にフォトセンサーをつけ
た実験で血流量があがることが確認できたトレーニング、またはその類似が「脳トレ」と
なっていったようです。「脳トレ」はパソコンの言葉で言えばCPU(中央演算装置)・RAM
(ランダムアクセスメモリー)・ハードディスクのうち、CPUの演算速度を速めることを目的
としたトレーニングといってもよいかと思います。(脳トレソフトの中には短期記憶に関す
るソフトもありました)

 今回の「鬼トレ」もきっと前頭前野の血流量は上昇するのだと思います。しかしそれだ
けに留まらず、一時記憶=短期記憶に特化したトレーニングのようです。例を挙げま
しょう。一ケタの足し算・引き算を二つ行います。一番目を計算しその答えを覚えておく。
その状態で二番目の計算をする。し終わったら一番目の答えを書き出し次の計算=三
番目へ移っていきます。今までの「脳トレ」と違うのは、答えを記入するまでに次の計算
をし少々時間を経過させることです。このように1問前の答えを記入するのを1バックと
いい実際のソフトはnバック(二問前、三問前、・・・n問前)まであります。「鬼トレ」を行っ
た方の感想を読むと相当の集中力を必要とするようです。そこが「鬼トレ」と呼ばれる
所以のようです。任天堂の説明によると「鬼トレ」は1種類5分以上行ってはいけないよ
うです。東北大学での実験により、短期間に長時間トレーニングをするよりも長期間短
時間トレーニング(任天堂では5分×8種類=40分が上限のようです)を行う方が効果的
のようです。(長時間トレーニングは対人コミュニケーションに関する前頭前野の体積が
減少するという結果もついてきているそうです)

 「鬼トレ」は受験生が受験勉強とともに行うことも効果がでますが、一瞬の判断を行わ
なければならない運動選手たちにも効果があるようです。「鬼トレ」の結果がよくなるこ
とは、脳の前頭前野の血流量が多くなるとともに脳の体積も増えるようです。その結果と
して脳のワーキングメモリー=短期記憶が強化され勉強だけでなく人間活動すべてに
良い効果をもたらすようです。一部では「創造性」まであがるという結果もあるようです。
「脳トレ」はもともと中高年以上の方々対象にしたソフトでした。今回の「鬼トレ」は中高
年対象ではなく発展途上の若い人々が行うことが効果的のようです。その意味では
「脳トレ」以上に多くの人々に影響を与える可能性を感じます。