桜(ソメイヨシノ)について

 桜(ソメイヨシノ)は既に葉桜になってしまいました。満開であった一週間ほど前、お花見に行かれた方も多かったのではないでしょうか。 今回の話題は桜(ソメイヨシノ)です。

 はじめはサクラの蜜腺についてです。皆さんサクラの葉の葉柄に蜜腺があることご存知ですか。サクラの葉っぱを手に取る機会がありましたらご覧ください。私がこの事実を知ったのは中学校の理科(生物)の授業の中でした。蜜腺は通常花の中にあるのですが、サクラは葉柄にあるという変り者です。このときお教えくださった先生の「さー、何でこんなところについているのでしょうかね。理由は分かっていないんですよ」という言葉がとても印象的で、今でも私の中で鮮明に記憶に残っています。現在では「数多くで活動する肉食昆虫のアリを集めてサクラに危害を加える草食昆虫が近づき難いようにしているのではないか」との理由付けがなされているようです。

 次はサクラの中でもソメイヨシノについて。ソメイヨシノはサクラの代表といっても過言ではないと思います。どこの小中学校にも必ずあります。通常植物は自然を表す代表としてありますが、しかしこのソメイヨシノは観賞用植物として最も人工的な存在です。それはソメイヨシノが自然交配で繁殖することは不可能で、全て人手による接ぎ木か挿し木によって増えさせるしか方法がないからです。接ぎ木か挿し木で増えるということは、元にあった一本のソメイヨシノから全て分かれていったと考えられます。ソメイヨシノは全て遺伝的に同一の個体が全国・全世界(有名なワシントンのサクラを含む)に広がったということになります。したがって遺伝的に同一の個体なのですから、条件がそろえばほぼ同時にソメイヨシノが開花するのは納得できるように思います。

 葉桜になってしまっている今、今回述べた内容を想いながら桜(ソメイヨシノ)を眺めてはいかがでしょうか。そして受験生の諸君は来年の「サクラサク」を想いながら葉桜を眺めることになるでしょうか。